展示期間:2020年12月4日~2021年3月21日
展示場所:ソウル歴史博物館 企画展示室A
担当部署:展示課
本展では、代々武官を務めた家系にスポットライトを当てることで、三軍営の実像に迫ります。三軍営とは、朝鮮後期に都城の防御体制を整備する過程で形成された中央軍営を指す言葉で、フンリョンドガム(訓練都監)、オヨンチョン(御営庁)、クミヨン(禁衛営)の総称です。三軍営の軍人たちは、ハニャン(漢陽)に常駐し、王の護衛や宮廷の守備、都城の防御、そして治安維持など、重要な役割を果たしました。
彼らは軍事活動の他にも、浚渫工事や松の伐採の取り締まりなど、都市を維持する「役(えき)」に動員され、時には少ない給料では暮らすことができず、他のさまざまな仕事にも従事しました。三軍営の軍人たちの活躍に支えられ、首都ハニャン(漢陽)は都市としてきちんと機能することができたのです。
本展では、キョンサンド(慶尚道)ヨンサン(霊山)[現在のキョンサンナムド(慶尚南道)チャンニョン(昌寧)郡ヨンサン(霊山)面一帯]のヤンバン(両班)だったイ・ジゴン(李枝建)とその家族のことから三軍営について紐解いていきます。彼らが残した准戸口(朝鮮時代における一種の戸籍謄本)や教旨などからは、彼らが務めていた職務だけでなく、科挙に合格したこと、家を所有していたかどうかなど、一見些細な事柄も多く含まれています。しかしその些細なことから、三軍営の軍人たちの軍事的任務のみならず、彼らの日常生活までも窺うことができるはずです。本展を通じて、朝鮮後期におけるハニャン(漢陽)と、都市の維持に当たった軍人たちの暮らしについて肌で感じることができれば幸いです。